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キックボックス フィットネス(2000年)

インストラクターとしてデビューしてから1年が過ぎました。マイクを床に落として壊したり、突然、デッキが壊れて自分が歌いながらメンバーさんに走っていただいたり……数々の失敗を重ねながらも、みなさんの優しさに支えられながら、なんとか無事に頑張ってくることができました。これからも今まで以上によりいっそう精進し、みなさんに喜んでいただけるようなレッスンを提供したいと思っています。
 まだまだひよっこのゆきぷうですが、さらなる飛躍のためにもっと豊富な知識、テクニックの習得をしたいと考え始めました。インストラクター2年目を迎え、新たな目標を掲げ、努力していこう、と。それが今回のチャレンジ──「同時進行ドキュメント キックボックス・フィットネス 完全マスター養成コース“基礎科”」です。
 ゆきぷうは今までティップネスのエアロビクスしか体験したことがありません。もちろん、ほかのクラブでレッスンを持つようになり、たくさんの先生のレッスンに参加させていただきましたが、知らなかったことにとまどうこともしばしばでした。ゆきぷう個人としてはティップネスは今でも大好きで、とても大切に思っているクラブですが、インストラクターとしてはもっといろいろなエアロビクスを体感したい。そして、自分のクラスに参加して下さるかたにもっともっと幅広い内容を提供していきたいと考えるようになったのです。
 そこで、自らを「フィットネスおたく」と称する岩沢陽介先生に挑戦してみようと考えました。「キックボックス」はエアロビクスではありません。格闘技系エクササイズです。しかし、フィットネスであることに変わりありません。この「キックボックス」を学ぶことによって、男性のメンバーさんにも喜んでいただけるような“かっこいい”エクササイズが提供できるようになれればと思っています。そして、これをきっかけにエアロビクスを愛するかたが増えることを願わずにはいられません。
 レッスンは9月18日から全8回。養成コースと同時に詳細をレポートします(週1回)。読んで下さるみなさんにもいろいろな感想や新しい発見を持っていただけるのではないかと思っています。(2000年9月17日)

キックボックス養成コース……1  2000/9/18

*本当にキツイ*

 ついに「キックボックス・フィットネス 完全マスター養成コース“基礎科”」が始まりました。先週、3時間のワークショップに参加し、岩沢先生の雰囲気やキックボックスの内容はなんとなくわかっていたものの、この養成を卒業した知り合いのインストラクターのかたたちが口々に「きつい。本当にきついから覚悟しておいたほうがいいよ」と言っていたので、実を言うと少しビクビクしながらの参加だったのです。
 今回の基礎科に参加するのは女性6名、男性1名の計7名。フリーのエアロビクスインストラクターはワタシを含めた2名。岩沢先生のエアロビクス養成コースのかたや岩沢先生が支配人を務めるスポーツクラブのスタッフ兼トレーナーのかたなど。水泳の指導員をしているかたや中には塾の講師(?)というかたもいらっしゃいました。岩沢先生いわく「アクションスターで参加したいっていう人もいるからねえ(笑い)」。とはいえ、キックボックスのベースはエアロビクス。なので、やっぱり基本的なエアロビクスの知識を持っているほうがスムーズに学べると思います。
 最初は、岩沢先生がふだん、なさっているレッスンを体感してほしいということで約1時間の「マスタークラス」が始まりました。まずはウォーミングアップ。これはエアロビクスと一緒です。マーチから始まって、ステップタッチ、肩まわり、背中、胸など大きな筋肉を温めていきます。そして、足のバリエーションが少しずつ変化しレッグカールへ。ここから少し、キックボックスの要素が入ってきます。レッグカールからダブル→4回→ニーリフト→ニーリフト3回プラス歩いて向きを変える→2回目のニーリフトは足を上げずに身体を方向転換→そして1、3回目のニーリフトはニーキック、2回目は向きを変えてジョブ、クロスのパンチをプラスして簡単なコンビネーションが出来上がります。
 そして足のストレッチをして、ウォームアップは終了。このあと、エアロビクスのローインパクトにあたる“ドリル”で強度をあげます。ドリルスタイルは同じ動きを何度も繰り返すのが特徴。この日は、足はシェイクで目の前にボクシングのパンチングボールをイメージして打ち続けるという内容でした。足はシンプルですが、肩まわりから大きく両腕を回転させることによって、想像以上に運動強度はあがります。なので、わずかな時間でもハイインパクト並みの心拍数まであがります。
 岩沢先生が通常、レッスンでやっていらっしゃるコンビネーションを少しやってクールダウンへ。クールダウンも独特で、東洋武術を取り入れた呼吸法と動作で、太極拳のような印象でした。

*基本はエアロ*

 なんとなくイメージしていただけたでしょうか?ここでみなさんに知っていただきたいのは基本はエアロビクスだということです。たとえば、ロー&ハイキックもサイドランジから変化させていきます(この日、岩沢先生はそうなさっていました)。ということは、エアロビクスのように一度、動き始めたら足を止めずにコンビネーションを組むことができるのです。しかも、エアロビクスをベースにしているので、自然と右と左のシンメトリーのコンビネーションができあがります。右のコンビネーションを数回通したら「左からやります」と一度止まって、足を変える必要がないのです。キックボックスのすごさのひとつはここにあるといってもいいでしょう。
 さて、岩沢先生の印象は……というと、とにかく恐ろしくパワフル!しかもキックやパンチが強烈にかっこいい。ブルース・リーに憧れて空手、キックボクシングなどさまざまな武術に精通したからこそ生まれてくる熟練されたテクニック、そしてモチベーションの高い動きにまぶしくてめまいがしました。
“癒し”という言葉がすごくブームになって、フィットネス業界でもリラクゼーション系のプログラムが増えました。エアロビクスのレッスンでもインストラクターが「無理しなくていいですよ」と頻繁に言います。しかし、癒すばかりでいいんだろうか? 癒すことでストレスから逃げるより、強くたくましく鍛え、ストレスに立ち向かうべきなのではないのか? とおっしゃる岩沢先生。キューイングのたった一言にも力強さや情熱が感じられ、憧れずにはいられません。当然、マスタークラスでもガンガン声を出し、先生と一緒にカウントダウンをしちゃいました。

*筋肉痛*

 そして、実技へ。まずは構え。次にベーシックなパンチ(リードジャブ、リアクロス、リードフック、リードアッパー)の練習。フックは床と水平になっている前腕をヒジを曲げたまま胸の前でコンパクトに振るパンチ。時計を見るような動作のパンチですが、この練習のときに岩沢先生が「おいおい、ギャグじゃないんだから」と大笑いでゆきぷうのところへ。ゆきぷうはひとりで、“フック”ではなく“エルボー”をやっていたのでした(涙)。1時間程度の練習でこの日は終了。しかし、すでに背中が痛い。いかにふだん、使っていない筋肉を使ったか、体感したゆきぷうでした。
 
 少し長くなってしまったので第1回はこのへんで。次回はキック編。また、エアロビクスとキックボックスフィットネスの決定的な違いに触れていきます。身体の使い方がエアロビクスとはまったく違うので、両方やることによってさらに身体の機能が高まっていくあたりにも触れていく予定です。そして、激しくなりそうな予感をさせる実践編もパワーアップします。お楽しみに!

キックボックス養成コース……2 (2000/9/25)

*エアロとひと味違う筋強化*

 今週は第2回目。まずは先週やった、基本のパンチ(ジャブ、リアクロス、フック、アッパー)の「1・2・3コンビネーション」から。これは「ジャブ・クロス・ジャブ」「ジャブ・クロス・フック」などをカウントに合わせて打ちます。4カウント目に体勢を基本のポジションに戻して、次の動きへと展開していきます。なので、必ず4カウント目はキックやパンチの動作がないのが特徴です。
 さて、前回もお話ししたとおり、キックボックスとエアロビクスの違いに触れましょう。まずは体幹。エアロビクスの場合は、体幹をキープすることが大切ですが、キックボックスの場合、パンチやキックの動作で、体幹(脊柱)のヒネリ(回旋など)が加わってきます。これにより、胴部を安定させる腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、脊柱起立筋が連動して収縮し、筋力強化につながります。
 エアロビクスとのもうひとつの違いは動きです。たとえば、右手で前にパンチするとします。エアロビクスなら「1・2・1・2」のカウントで「1=出す、2=戻す」というコントロールされた動きになります。が、キックボックスの場合はカウント1の間に出して戻さなければなりません。この瞬発的な動き(バリスティックムーブメント)がエアロビクスとは違った筋強化になるのです。
 少し、難しいお話になりましたが、カンタンに言えば、エアロビクスとは身体の使い方が違うということです。といっても、エアロビクスを楽しんでやっているみなさんは「エアロビクスだけで十分」と思うかもしれません。しかし、エアロビクスだけに固執してしまうと、エアロビクスで使う部分のみ発達し、瞬発的な力を発揮するような能力は使われないうちに徐々に低下していってしまうのです。野球やサッカー、あらゆるスポーツの上で、瞬発的な動きをしないスポーツは存在しません。ボールを投げる動き、蹴る動き……コントロールされた動きはありません。瞬発的な筋力を向上させることはすべてのスポーツをしていくうえでも役に立つのです。

*グローブをはめてミット打ち*

 さて、基本のパンチを岩沢先生に確認していただいた後、グローブをはめて1対1のミット打ち。実際に打つことによって、グローブをはめていないときにもイメージしながら力強く打てる、と岩沢先生。フォームが乱れないように、そして、体重をしっかり移動させながら何度も何度も繰り返し打ち続けます。実際に打ちはじめて感じたのは、思った以上に体重を拳にのせられないこと。エアロビクスの場合は、足の裏を床についていますが、キックボックスでは常に体重を母子球に乗せて、パンチやキックのときに体重を移動させます。いつもつま先立ちの状態で、身体のヒネリに合わせてつま先とヒザの方向を同じにしていくんです。そうしないと、ヒザに負担をかけることになるのですが、ゆきぷうはどうしてもヒザがつま先と同じ方向に動きません。身体をひねるとつま先、ヒザが内股になっているのです。「ヒザ!つま先!」と何度も、岩沢先生に注意されるゆきぷう。まるで初めてエアロビクスを始めたころのように、パニック状態に陥り、アワアワ言ってしまいました。そしてもうひとつ。「出して、戻す」の“戻す”動作が意外と上手に出来ないこと。瞬時に戻すには上腕三頭筋の筋力が要求されることに気がつきました。プッシュアップは家でやっていたものの、パンチの練習中にすでに三頭筋が筋肉痛。自分の弱点をまざまざと思い知らされるハメに……。おまけに、何度もパートナーチェンジをするのですが、岩沢先生と組み、先生のパンチを受けた瞬間、ゆきぷうは飛びました(涙)。「そこにジッとしていていいですよ」と何度言われても、先生のパンチが炸裂するたびに吹っ飛ぶので、後ずさりでスタジオ中、大移動。仲間から「岩沢先生、イジメみたい」と笑われた岩沢先生とのマンツーマンでした。
 そして、キック。キックも同じように1対1のミット打ちで練習。攻守(?)交代のときに休んだり、水分補給はできるものの、常に足を上げている状態。ハイキック50連発(やったことないですけど)のような苦しさです。私の最大の弱点である臀筋とハムストリングス(モモの裏側)を使いっぱなしなので、レッスン後は足が何度もつりました。キックのときも体重移動がなかなか出来ず、なかなかコツがつかめなかったゆきぷうでした。

*ハイインパクト以上の苦しさ*

 ラストの1時間は、単発の動きを組み合わせた「ベーシックドリル」の講義と実技。まずは「パンチングドリル」の説明から。パラレルスタンス(両足を開いた状態)での単発のパンチ動作で、筋持久力や心肺機能を強化を目的とします。ウォーミングアップのあとに組み入れたり、ショートプログラムで利用したりできるそうです。これがまた猛烈にきっついこと、きっついこと(涙)。「なんでこんなにきついのおおおおお?」と思うぐらい。チャンスがあったらぜひ挑戦していただきたいんですが、足を肩幅より広めに開いた状態で、音に合わせてまずは「1・2・1・2」の音楽に合わせて、1のカウントで左手で右斜め方向にパンチを打ちます。そのとき、必ず体重を拳にのせてください(右ヒザは必ず右のつま先と同じ方向です)。それと、パンチは1のカウントのうちに打って戻します。これを徐々にスピードをあげて行います。5分もやればアッという間にハイインパクト以上の苦しさです。パンチの種類をアレコレかえて、約20分ほどやったでしょうか。これで、第2回目の4時間がやっと終了。這うようにして、帰宅しました(翌日は全身、筋肉痛)。果たして、来週は生きていけるんでしょうか? そして、本当にやり遂げられるんだろうか? ほんのちょっとだけ、弱気になったゆきぷうでありました。

キックボックス養成コース……3 (2000/10/18)

*課題は体重移動

 第3回目の今回は、1・ 2 ・3コンビネーションで身体を温めた後、ディフェンステクニックの指導。ダッキング(ヒザを使って、真下に身体をよける)を始め、ウイービング(横から横へ逃げる)、ボビング(身体を斜めに引き裂くように避ける)などを2人一組で練習。そのあいだに岩沢先生が一組ずつ丁寧に指導して下さるのがうれしい。
「つま先が回ってない」──これが岩沢先生のゆきぷうに対する課題。ヒザに負担をかけないように体重移動と同時につま先をヒザと同じ方向にするのが、キックボックスのポイントでもあるのに、どうしてもできない。意識して身体のヒネリと同時につま先を動かそうとすると、ヨロヨロとしてしまう。本当にできるようになれるんだろうか? 正直なところ、不安になることのほうが多い。「本当に上手になれるのかな」──休憩時間や帰りのロッカーで、不安そうに話す仲間もいる。岩沢先生は本当に丁寧に、わかりやすく教えて下さる。しかし、自分の身体が言うことを聞かないので、先生のおっしゃるとおりにやろうとしてもできないのである。
 そんな私たちの気持ちを察したのか、この日の後半は、キック上達のためのトレーニング方法を伝授される。まずはバーを利用したトレーニングから。バレエのように前に足を上げて下ろす。繰り返しやったあとは、上げたままキープし、ヒザから下だけを使って頭の高さぐらいに構えられたキックミットをひたすら蹴る。これはキツイ。大腿四頭筋、ハムストリングスがパンパンに張っているのがわかる。このあと、横と後ろも同じように足を上げる、そして上でキープしたままキックする練習をするが、どちらも股関節を使うことが大切なキック(ラウンドハウスキック、サイドキック)のためのトレーニングなので、股関節を回すように足を上げる。横の場合は上げる足と同じ側の手──右足なら右手、左足なら左手を横に伸ばし、その手の後ろ側に足を上げるようにする。後ろの場合は、一度、前に足を振ってその反動で股関節を回しながら後ろに足を上げる。しかも上げた状態で、岩沢先生がキックミットを持ち「(足を)下ろしていいとは言ってないよー。まだまだまだまだ」とあおる。これだけで下半身はボロボロだ。

*両足同時キック!

 それでも終わらないのが岩沢流(?)。このあともフロアで延々とキックの練習が繰り返される。音に合わせて、クロスステップからのフロントキック。「1で蹴ったら(後のカウントは)お休みです」と岩沢先生。そんなにきつくないかな?と思いながら、スタート。しかし、徐々に休むカウントが短くなってくる。「1 、2のタイミングで!」と言われたときにはもう足が言うことを聞かない。右と左にミットを持った人を立たせ、競技で行われるトゥ・タッチのように両足同時にジャンプしながらミットを蹴る練習など、容赦ないトレーニングが襲いかかってくる。「テコンドーでもこういう練習はしますね」と岩沢先生に言われたときには、身も心もボロボロで「オリンピックに行くわけじゃないから、こんなにやらなくてもいいですう〜」と心の中で半ベソ状態になっていたゆきぷう。「週に2〜3回は自分でやってください」ということで、この日からスタジオが空いている場合に限り、早めに行って一人、黙々とやってます。かなりみっともない姿ですが、見かけても笑わないでくださいねー(本当にすごいことやってます)。
 実はこのトレーニングや実技指導で、岩沢先生は個人の弱点をすでに見抜いていました。「腰痛持ちじゃない?」といきなり指摘され、ビックリのゆきぷう。まさしくおっしゃるとおりで、ずいぶんと良くなった今でも2週間に一度、カイロプラクティックにお世話になっている。ゆきぷうに対し、「腹筋はそんなに弱くないけど、脊柱起立筋が弱いね。バランスが悪いのが気になります」と岩沢先生。みんなの前で「ちょっとやってみて」と言われたのは、うつ伏せになり脇をしめた状態でひじを床につく。ひじとつま先で身体を持ち上げてキープする。腹筋と背筋のバランスが悪いと、当然、お腹が落ちて腰が反る。「うわー。つらいですうー」と泣くゆきぷうに、岩沢先生は「その状態で片足づつあげてね。じゃあ、右足から」とニコニコ。「そ、そんなあ」──右と左を交互に数回あげてダウン。自分の弱点を思い知らされたのでした。

*エアロビクス・インストラクターの「欠点」

「きちんとバランスがとれるようなトレーニングをすれば、できるようになりますよ」と岩沢先生。「メンバーさんの中にはエアロビクス、格闘系エクササイズ、ステップ、ボール、太極拳……いろんなものにチャレンジしているかたがたくさんいます。インストラクターはそういうメンバーさんよりも優れていなければいけないのに、エアロビクスのインストラクターはどうしてもエアロビクスばかりやることになってしまう。これでは、メンバーさんのほうがいろいろな動きに対応できる、バランスのいい身体になるのは当たり前です。メンバーさんに指導する立場なら、どんな動きにも対応できるバランスのいい身体を作るべきなのでは?」この岩沢先生の考えに、思わずうなってしまった。

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