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2007年07月21日

ありがとう。

新卒で入社したスポーツ新聞社で内勤をしていたとき、
会社の先輩に誘われた。
「おい、競艇行くか」と。

おぢさん溢れる無料バスに乗って、
初めて行った江戸川競艇場。
疾走するボートのスピード感とレース展開に魅せられた。
「まくる」「差す」は競馬や競輪でも言われるが、
「ツケマイ」という競艇特有の決まり手に惚れた。
以来、夜勤の前には一勝負してから会社に行き、昼間で勤務が
終わった日は新幹線に乗って浜名湖競艇場に行くほど競艇にハマった。
ちなみに新婚旅行は丸亀競艇場でした。

趣味が仕事へ。
その後、まもなく競艇記者として現場で取材をするようになったのでした。
かれこれ15年ぐらい前になるのかな。

「朝から競艇場に女がいるとは何事だ」
舟券を買うおぢに言われながら、仕事に行っていたころ
いつも力になってくれたのが植木通彦という選手でした。

「わからないことがあったらなんでも遠慮せず聞いて」
ピットで会うとそう声をかけてくれた彼と話をしていると、
ギャンブルレーサーというよりトップアスリートのにおいが
したことを覚えています。
競艇場に足を運んでくださるお客様のためにレースをするという
気持ちがからだから溢れていたからこそ、ギャンブルレーサーには
珍しく「勝っても負けても」人気がある選手でした。

出会った頃は顔面を75針縫う大ケガから復活したあとでしたが、
そのことに対しても話を聞いたこと、覚えています。
怪我をした桐生競艇場を復帰初戦に選んだのは、もう一回そこから
始めないと逃げてしまうような気がしたから・・・と聞き、
素直にかっこいいじゃねーか!と思いました。

その、植木通彦選手が昨日、電撃引退を発表しました。
http://www.kyotei.or.jp/
選手生活20年とはいえ、まだ39歳。50歳でも走っている選手が
ざらにいる競艇界であまりにも早すぎること、そして時代を作る
ほどの活躍をした彼がやめてしまうこと・・昨日はこのニュースを
知ってから、さまざまなことを考えました。

引退・・・スポーツ選手が必ず向き合わなければいけない現実。
どう辞めるか、そのタイミングなど、それこそ、男の美学です。
なにも言えないのはわかってます。
それでももう二度と彼のレースを見ることができない・・・と
思うと、残念で残念でたまりません。

競艇を知らない人にも彼を知ってほしい・・と思っていた10数年前。
彼のことを書きたいと、仕事で上京してくる彼を羽田空港で待ちかまえ、
電車で移動しながらインタビューしたことがありました。
勝負服以外の写真を使いたくて無理矢理、喫茶店でスーツ姿の写真を
撮らせてもらったこともありました。
いつどんなときでもいやな顔をせず、リクエストに応えてくれるやさしいかたでした。


いま、彼がどんな心境なのか、私にはわかりませんが、
これから先、彼にとってすばらしい人生になることを祈ってます。
そして、彼のようなレーサーがいたことを私は絶対に忘れません。
ありがとう。


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