産後にトラブルが起こりやすい「骨盤底筋」に限定し、アプローチしている「レディスコンディショニング」も、2007年は3回の開催を終えました。
3回目は募集を開始した時点で午前、午後の2クラスともすぐに定員に達し、追加で別の日程を設定したところ、あっという間に定員に。産後のお母さんたちにとって、「骨盤底筋」に関わる腰痛や尿漏れなどの悩みがいかに切実かがわかります。
ピラティストレーナーとして産前・産後のケアを学んだ私ですが、ピラティスではなく、「骨盤底筋」に限定してアプローチしたのには理由がありました。
大学生の頃、ある日、突然私は腰痛になりました。サラリーマン時代にはまったく歩けなくなり、2週間、会社を休んだこともあります。整形外科、カイロプラクティック、整体などさまざまな治療を試しましたが、変化なし。その後、トレーナーとして活動するようになり、わかったこと・・・腰痛の原因のひとつが「骨盤底筋」の弱さだったのです。
それを教えていただいたのがフィジオセンターでコンディショニングを担当している理学療法士・石井美和子さんでした。石井さんが私のからだを通して、骨盤底筋の重要性を教えてくださったことが私のなかにしっかりと根付き、また、福岡「ピラティズジャパン」のアンドリュー・クラウン氏や「Long Beach Dance Conditioning」のマリジョゼ先生に学ぶチャンスに恵まれたことで、さらに知識を深めました。
そのころ、編集者である友人の中村智子さんから、相談を受けました。産後、骨盤底筋のケアに悩んでいるというのです。
「お医者さんに行くとお尻締めろとか肛門締めろって言われるんだけど、なにかが違うんだよね」
と言う彼女は、赤ちゃんを抱きかかえる際に腹圧の弱さをかばうため、腕を過剰に使い、手首の腱鞘炎になってしまったそうです。
産後のケアとしてのエクササイズを提供しているかたや施設は意外とあります。ママがきれいでいるために、ママが健康でいるために・・・さまざまなテーマですばらしい取り組みが行われています。
そんななかで、中村嬢と私の考えは「切実に困っているママたちのためになにかしよう」でした。
たとえば、「尿漏れ」といっても人によって症状は違います、軽い人もいれば、なかには外出することが厳しいなど、日常生活に支障をきたすかたもいます。
少人数で確実に「骨盤底筋」を意識するエクササイズだけにポイントをしぼる。そして、産後のママがまず日常生活に戻れるようにしよう!こうして、この企画が始まりました。
人数は最大6名。お一人ずつ、きちんと姿勢をみたり、エクササイズができているかを確認するためにはこの人数が限界です。そして、この企画の最大のポイント「赤ちゃん連れOK」。みなさんがそれぞれ赤ちゃんを連れていらっしゃると考えると赤ちゃんも6人・・・泣いたり、ハイハイしたりするわけですから、この人数がベストでしょう。
90分のクラスでは、骨盤底筋の重要性や位置の簡単な説明からスタートし、からだの緊張をゆるめ、深部にある骨盤底筋を実際に意識する方法をご紹介していきます。そして、ご自身でできる簡単なエクササイズに挑戦していただきます。その際に必ず私が確認し、またそのかたの症状や状態を聞きながらアドバイスをさせていただくようにしています。
私は医者ではなくトレーナーです。エクササイズ指導はできますが、症状が重く、痛みがあるような場合は力になることができません。そういった場合、この企画に賛同してくださっているフィジオセンターの石井美和子さんをご紹介するようにしています。
「尿漏れなどで日常生活に支障をきたすようになると、あんなにほしかった赤ちゃんを憎んでしまう瞬間があるんです」
出産経験がない私ですが、こんなお話を聞くと同じ女性として力になりたいと強く思います。
この企画をスタートして、そういった悩みを持つ方からメールをいただくようになりました。時間やタイミングが合わない方、遠方にお住まいのかたなどから連絡をいただきます。私一人ではすべてのかたに対応することは難しいですが、私だけでなく、日本各地にいるピラティストレーナー仲間のなかにもこの企画に賛同してくれるひとたちがいます。これからもこういった仲間と産後のママがひとりでも多く、ごく普通の日常をおくれるようにサポートできたらと思っています。
*からだプロジェクトvol.1「レディスコンディショニング」は2007年9月21日金曜日、東京都中野区「中野助産院」で開催。
*はじめは12名で行いましたが、「触ってもらわないとわかりづらい」「意識が難しいから丁寧に教えてもらえるとうれしい」というリクエストにこたえ、定員6人にしました。
*参加されたかたに少しでも理解していただけるように、シンプルなエクササイズをチョイスし、繰り返し練習。
* 赤ちゃん連れOK。赤ちゃんと一緒にできるエクササイズなども導入しました。
* 骨盤底のトレーニングだけでなく、姿勢の意識や育児での疲れをとるような肩周りをゆるめるエクササイズなども取り入れています。
【ピラティスを応用した骨盤底筋トレーニング レディスコンディショニング】
皆さん、産後の尿漏れや、膣の緩みなどで悩んではいらっしゃいませんか。
これらの症状は、なかなか人に相談できず、 ひとりで苦しんでいるママ達がたくさんいます。
また、現在、尿漏れや子宮脱(子宮が膣から飛び出してしまう症状)で 悩む高齢女性が急増しているのですが、 それは出産によって骨盤底筋という筋肉が ゆるんだままになっているにもかかわらず、 「産後の尿漏れは仕方がない」とその筋肉のダメージを そのままにして年を重ねてきてしまったのが原因です。
フランスでは自然出産の女性は、必ず産後に保険の適用を受けて、 きちんとしたトレーニングをしているとのこと。 日本では産後の母体ケアのプログラムが整っていないため、 高齢になってから悩む女性が多いのです。
そこで、このたび、ファン助産院の姉妹院である中野助産院にて、ピラティス、ジャイロキネシス、カーディオラティスのインストラクターである 山本祐希江さんに、骨盤底筋を鍛える トレーニングの方法の講座をお願いいたしました。
このクラスでは、自分一人ではどこに存在するのかということすら分かりにくい 「骨盤底筋」の正しい位置を確認する方法や、 その筋肉の効果的なトレーニング方法を指導します。
骨盤底筋を鍛えていくということは、実は腹横筋も同時に鍛えることになり、 子育てや日常生活に必要な体幹の強化にもアプローチすることが可能です。
産後の正しい体のケアは、将来の自分の体を守ることになります。
ご興味のある方、困っている方、ぜひ、ご参加ください